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File⑥

・「歴然とした事実は、認められなければならない。きっとそれは、パニックにならない様に

  人間が人間に科して罪なんだろう。」

 

・「比較は、人間を悪人にする。いかなる時も我々は平等でなくてはならない。宗教とか政治

  のことを言ってるんじゃなくて、人間的に道理的に平等でなくてはならないと思う。」

 

・「メガネをかけて空をながめる。遠き透き通るような青空に浮き雲が点在している。風に流

  され模様を変えていく様は人間の心に似ている。きっと気まぐれでいい加減なものなんだ

  ろう。」

 

・「方法論的発想は、理にかなわないすぐれた統計学とも言える。ただ科学性を持たせればの

  話だが。」

 

・「今日寒い、いや気候だけじゃなくて、心も寒い、きっと感情に低気圧が停滞しているのだ

  ろう。」

 

・「充実した日々が暦を彩る。毎日が楽しくて、うれしくなって来る。気のせいだと感じた

  時、我々はもう過去の亡霊にとりつかれうなされ続けているんだろう。」

 

・「地蔵尊に手を重ねる老婆がいる。きっと子供か孫かの心配をしているのだろう。そんな光

  景を見ながら自分の無意味さに激怒するんです。」

 

・「感情的になる人間を見て愛着をかんじる。一方、理性的な人間を見て腹立たしさを感じ

  る。多分、嫉妬なんだろう。」

 

・「タクシー乗り場で荷物をかかえた老人がいる。彼は何を待っているのだろう。おそらく、

  荷物置き場を探しているんだろう。」

 

・「憂鬱な町。両目が曇るほどのうっとうしさに、思わず吐き気がして立ちくらみした。黄砂

  にまみれたのだろう。精神の屈折は、めまいの原因である。病んだ精神の末期症状であ

  る。」

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